2012年4月5日木曜日

沖縄映画ベスト3

1.『ウンタマギルー』(高嶺剛/1989

今のところ不動の一位。本土復帰前の体験していない沖縄の、しかしそれほど過去でもない時代を幻想的な映像で描きつつ、そこここに生々しい現代史が流れている。

印象的なのがキジムナーの演出で、森の中に少し変わった格好のおじさんが立っていて、主人公に声をかける。ウンタマギルーは振り向いて「お、キジムナー」と応える。妖怪を登場させるのにこんな呆気ない表現でもいいものかと当時驚いた記憶があるが、後から思うにマジック・リアリズムというやつだったのかもしれない。

あのキジムナーの存在感と、自分の中の「沖縄」とはよく似ている。テレビ放送とビデオでしか観たことがないので是非一度スクリーンで体験したい。

 

2.『ソナチネ』(北野武/1993

北野作品で一番好きな作品。

ストーリーはこれといってなく、組織からはみ出てしまった人間が破滅への道を突き進んでいくというそれだけのテーマで全篇を貫き通し、リリカルな映像を綴っている。

劇中の都市部は自分の見てきた沖縄の風景とほぼ同じでありながら、また映画的でもある。道路に、建物に、停まっている車に容赦なく降りかかる真白い陽光は幻想的で、それらをあますことなく写しているフィルムは貴重だと感じる。

北野映画の魅力は細部のリアルさと全体の幻想性のバランスだと思うのだが、この作品以降これといって良いものが無いのは残念。

ちなみに、主人公がマシンガンを手に殴り込みをかけバンバン撃ちまくるというシーンに使われたホテルで結婚式を挙げました。

 

3.『ベスト・キッド2』(1986

舞台は沖縄ということで、前作のファンでもあったので楽しみにして観たのだが、映っている場所は「どこだここ!?」 であった。

もしかするとコザ辺りにはいまだにこんな場所があったりするのかしら、いやまさか、しかしこんなのが沖縄だと思われては困るなあ…などと考えたりしたものだが、沖縄で撮影されたものではないと後から知った。

場所にこれといって思い入れもなくイメージだけで作るとこうなるという見本のような作品。

この類の粗雑さを避けるためには、実在の土地だけでなく架空の場所についても注意を要することだろう。

 

以上、ベスト3と銘打ってみたが、いま思いつくのが3本だけなのでこういう結果になりました。逆順にするとワーストにもなります。というか、3位はワースト1です。沖縄に関係する映画はきっとほかにも観ているはずなので、思い出したり、またあらたに観たりしたら内容更新します。